糖尿病診療について 糖尿病の治療法

神戸市西区 偕生病院 糖尿病外来部門
糖尿病内科かいせいクリニック
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食事療法
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運動療法
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薬物療法
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糖尿病治療の3本柱

日本では、約1000万人が糖尿病であると推定されています。

さらには約1000万人が糖尿病予備軍であると言われており、合わせると2000万人にもなります。

成人の10~11人に1人は糖尿病であり、4人に1人は予備軍ということになります。

誰もが他人事とは言えなくなっています。

それでは、糖尿病といえば、何を連想しますか?

間食をやめられない、ついつい食べ過ぎる、運動をしない、などのだらしない生活習慣が原因の病気ね、なんて思っている人も多いのではないでしょうか。

食事療法

糖尿病になれば食事療法が重要である、ということはよく耳にされると思います。

糖尿病≒食事制限、と思っていらっしゃる方も多いかもしれません。実際は、糖尿病の食事療法に特別な献立があるわけではありません。

実は、糖尿病の食事療法とは、糖尿病ではない方にとっても、元気で長生きをもたらす食事内容になります。

具体的には、「適切なカロリーを適切なバランスで」ということになります。

入院した際の病院での食事を続けることになりますが、そんなことは全く現実的ではありません。

食事とは、人が生命活動をするために必要なエネルギーを得るために必要不可欠な行為です。「人が何を食べるか」ということは、生まれ育った環境や地域、価値観など、多くの要素で決定されています。食事内容は、その人を表しているとも言われています。

そこで当院では、まずは現在の食事内容を把握させていただくことから始めていきます。

その後、良い点、良くない点、変更できること、変更できないことをご相談させていただくようにしています。まずは、ご自身の食生活を客観的に振り返ってみることから、食事療法を始めてみませんか。

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運動療法、歩いている人のイメージイラスト食事療法と同様に、糖尿病に特別な運動療法があるわけではありません。

糖尿病の有無にかかわらず、元気で長生きするためには、適度に運動することは極めて大切です。

地域の坂の傾きが約1.5上がると、住民が中等度の糖尿病になるリスクが18%低下するとの調査結果があります。

これは、「日常的に坂を歩くことで、運動と同じ効果が得られている可能性がある」ということを意味しています。

「家の周囲に坂がないのだけれど・・・」と落ち込まれた皆様。安心してください。

坂が無くても、日常生活の中で運動と同じ様な効果が得られるものが他にもあります。

運動療法

運動と同じ様な効果が得られる生活活動とは?

日本人の運動量が減ってきていることは皆様も実感されているのではないでしょうか。

実際に、15歳以上の1日の歩数の平均値が平成9年から平成21年にかけて、男性では8,202歩から7,243歩、女性では7,282歩から6,431歩に減少しています。

それぞれ約1000歩ずつ減っているわけですが、これは1日約10分の身体活動時間の減少を意味しています。

 

身体活動とは、動かずにじっとしている状態よりも多くのエネルギーを使う全ての動作を指します。

この身体活動には、日常生活における家事、通勤、通学などの「生活活動」と、スポーツやジムなどの目的をもって実施される「運動」の2つに分けられます。

はじめにご紹介した報告は、坂道を歩くという「生活活動」が「運動」と同じ様な効果を持っているということを意味しています。

 

「運動」が元気で長生きをもたらすことは、多くの研究で明らかになってきています。

車の普及が運動不足の要因とも言われていますが、実際に発展途上国において自動車を所有している人の肥満の発症率は3倍に、2型糖尿病の発症率は2.5倍に上昇することが明らかになっています。

また、毎日5分~10分のジョギングでも、心血管疾患や死亡のリスクが3~5割減ると言われています。

さらには1週間に1日平均7分未満のランニングでも死亡リスクを減少できることも報告されています。

最近では、運動が認知症の予防に非常に有効であることも明らかになっています。

それでもまだまだ「運動」は難しいと思っている方も多いかもしれません。

そこで注目したいのが、「生活活動」による身体活動です。

誰でも出来る身近な生活活動で健康を増進!

ニート:NEAT(non-exercise activity thermogenesis)という言葉をご存じでしょうか。

これは、運動ではない日常生活における身体活動によるエネルギー消費のことを意味しています。

肥満者と非肥満者を比べると、肥満者は歩行なども含めた立位による活動時間が、平均で1日約150分も少ないとも言われています。

テレビを観る時間が多い人や座っている時間が長い人の方が、健康寿命が短くなるということも報告されています。

つまり、忙しかったり、時間がなかったり、面倒だからという理由で「運動」を始められない方は、「生活活動」を増やすことでも充分に健康は増進できるということです。

 

・積極的に階段を使う

・ゴミを投げないで歩いて捨てに行く

・いつもより少し遠回りして家に帰る

・たまには掃除をしてみる

・手紙を出しに郵便ポストまで歩いて行く

・テレビを観ながら軽くストレッチや筋トレをする

・テレビのリモコンを少し遠くに置く

・1時間テレビを観たら少し休憩して部屋をうろうろする

・ラジオ体操、テレビ体操をやってみる

・貧乏ゆすりをする!?

などなど。

何でもよいので、少しでも身体を動かすことを意識することから始めてみませんか。

将来のご自身のために。

薬物療法

内服薬

・スルホニル尿素(SU)薬

膵臓からのインスリン分泌を促進させるお薬です。血糖を下げる作用は強いですが、低血糖を起こすリスクがあります。

・グリニド薬(速効型インスリン分泌促進薬)

スルホニル尿素薬と同様に、膵臓からのインスリン分泌を促進させるお薬です。スルホニル尿素薬より、効果は弱めですが、作用時間が短いため、低血糖のリスクは低いです。

食後の高血糖を是正するために使用されることが多いです。

・DPP-4阻害薬

スルホニル尿素薬やグリニド薬と同様に、膵臓からのインスリン分泌を促進させるお薬です。これら2つとは異なり、血糖値に応じてインスリン分泌を促進させるため、血糖が低い時は、インスリンを分泌させないため、単独使用では低血糖を起こしません。

現在は、糖尿病治療薬の中で最も多くの人に使用されています。

最近では、1週間に1度内服するタイプも登場しています。

・ビグアナイド薬

血糖を安定化させるために、必要なインスリン量を減らす効果があります。欧米では、第一選択薬となっています。

痩せ型、肥満型ともに一定の効果があると言われています。

・SGLT2阻害薬

2014年に登場したお薬です。1日に70~80gの糖を尿から排出させます。内服することで、2~3 kg程度の体重減少効果が期待できます。合併症を抑制する可能性も示唆されており、最近注目されているお薬です。

・α-グルコシダーゼ阻害(α-GI)薬

腸管からの糖の吸収を阻害することで、食後の高血糖を抑制します。

・チアゾリジン薬

インスリン抵抗性改善薬とも言われており、インスリンの効きを良くするお薬です。

これら沢山ある選択肢の中から、それぞれの患者さんの病態や状態に合わせて提案していきます。

注射薬

・インスリン製剤

注射薬のイメージイラスト
糖尿病は膵蔵からのインスリン分泌が低下することで発症する病気です。インスリン分泌が極端に低下する1型糖尿病では、インスリン製剤によるインスリンの補充が治療の中心になります。また、2型糖尿病においても、全ての症例でインスリン分泌は相対的に低下しています。その中で、インスリン分泌の低下が主体である場合(家族歴がある場合や、比較的若年で発症している場合)には、インスリン治療が必要になる場合があります。

「低下しているインスリンというホルモンを適切に補充する」と捉えることができます。

ホルモンの低下は、それぞれの努力や根性ではどうにもなりません。そこで、足りない分を上手に補うことが大切になります。

それでは、インスリンとは何をしているホルモンなのかご存知でしょうか。

人が生命活動を維持していくために、必要なエネルギーである糖(グルコース)を体の中の細胞に貯めていることが、インスリンの役割です。

人はエネルギーを食べることでしか得ることができません。食べたものは、胃腸で消化吸収されて体内に入ります。

そのうち、血液中の糖(グルコース)が、いわゆる血糖です。食事をするとこの血糖の増加を、膵臓が速やかに感知して、インスリンを分泌します。出てきたインスリンは、血液中の糖(グルコース)を体の中の細胞(肝臓や筋肉)に取り込んでいきます。つまり、血糖値が下げながら、糖を体内に貯蔵していっていることになります。

私たちは1日や2日ご飯を食べなくても、低血糖にはなりません。これは貯蔵している糖を徐々に使っているからです。このように貯蔵(主に肝臓)している糖の放出を調整しているのも、インスリンなのです。身体の中からインスリンが無いと、貯蔵している糖が一気に放出されて、短時間で著明な高血糖になってしまいます。

このように、毎日のインスリン分泌は、食事ごとに分泌されるインスリン分泌と空腹時のインスリン分泌にわけられます。 インスリン製剤にも、食事の時のインスリン分泌を補うためのものと、空腹時のインスリン分泌を補うためのものがあります。

さらには、2種類のタイプが混ざったものもあり、内服薬と同様にそれぞれの患者さんの病態や状態に合わせて選択していくことになります。

・GLP-1受容体作動薬

インスリンではない注射薬であるGLP-1受容体作動薬が2010年から登場しています。インスリンと同様に自己注射が出来ます。

GLP-1とは、食後に腸管から分泌されるホルモンです。この腸管ホルモンであるGLP-1には、血糖に依存して膵臓からのインスリン分泌を促進させるという働きがあります。血糖に依存するために、血糖が高いときだけインスリンを分泌させるため、血糖が低い時に余分にインスリンを分泌させません。その結果、単独使用では低血糖を来しません。さらには、GLP-1受容体作動薬の中には食欲を抑制するなどして、体重減少をもたらす効果があるものもあります。

また、1週間に1度自己注射をするだけで、これらの効果が持続するものも登場しています。糖尿病を病態から改善させるとして、非常に注目されているお薬の1つです。